【委託醸造者紹介】ドゥ モンターニュ タテシナ@長野県~2人の葡萄栽培家が手掛ける新設ワイナリー

こんにちは。マザーバインズ&グローサリーズ株式会社の丹羽(にわ)です。

弊社マザーバインズ長野醸造所にて、過去に委託醸造され、ワイナリー設立時に醸造機器を搬入させていただきましたワイナリー様をご紹介させていただきます。今回取り上げるのは、長野県立科町(たてしなまち)の『ドゥ モンターニュ タテシナ』です。

ドゥ モンターニュ タテシナのワイナリー外観

ドゥ モンターニュ タテシナについて

『ドゥ モンターニュ タテシナ』は、2023年9月に北佐久郡の立科町に誕生しました。

葡萄栽培家である、安孫子 尚(あびこ たかし)様と山岡 剛(やまおか たけし)様のお二人で営まれており、安孫子さんは立科町にて『アビーズバインズ』、山岡さんは同県小諸市にて『モンテ・コリーナ』をそれぞれ経営し、葡萄を栽培管理されています。

ドゥ モンターニュ タテシナの安孫子さん(左)と山岡さん(右)

ワイナリー名はフランス語のDeux(2つの)Montagnes(山)を意味しており、ブランドロゴにある上の山は浅間山を、下の山は蓼科山、中心部分は千曲川を表したデザインとなっています。名前の通り、ワイナリーからは広大な浅間山と蓼科山の二つの山を望むことができますよ(どんな景色なのかは、ぜひワイナリーに行って確かめてみてください!)。

ドゥ モンターニュ タテシナのブランドマーク

立科町はワイン用葡萄の生産地としても注目度の高いエリア

ワイナリーのある立科町は、長野県の東部北佐久郡の西端に位置し、東は佐久市、北は東御市に境を接しており、稲作を中心としてりんごなどの果樹をはじめ野菜や畜産も盛んな地域にあります。また、2023年には英国のワイン専門誌が主催する国際コンクール「デキャンター・ワールド・ワイン・アワード」にて、サントリー社が出した立科町産のブドウを原料に醸造した白ワインが最高賞のプラチナ賞に次ぐ金賞を受賞するなど、ワイン用葡萄の生産地としても注目度の高いエリアとなっております。

安孫子さんが経営する『アビーズバインズ』の建屋と自社圃場

土壌の水捌け改善のため暗渠(あんきょ)排水工事を実施

立科町は年間を通じての日照量が多く、昼夜の寒暖差の大きい地域です。特に降雨量が少なく(年間降水量は約1,000ミリ)雨の少ない長野県の中でも際立っており、葡萄栽培にも適した気候と言えます。しかしながら、植栽予定の土壌は重粘土質だったため、葡萄木のための水はけを考慮し、大規模な暗渠排水工事を実施。現在では、そのおかげもあり健全で凝縮した葡萄が育っているとのことです。

暗渠排水工事の様子(アビーズヴァイン圃場にて)

安孫子 尚さんとアビーズバインズについて

まずは、安孫子さんのご紹介です。安孫子さんは前職で、外資金融関係のお仕事をされてました。約8年間赴任されていた香港にてワインに魅了され、それから世界中のワインを嗜まれ、その沼にハマっていきます。そして、1997年に帰国後に訪れた長野県の某ワイナリーにて、そのワインに感銘を受けたことでワイン醸造への道を志したそうです。

アビーズバインズの圃場前の安孫子さん近影

2015年には、県内の大町にあるワイナリーにて醸造研修を経て、翌年2016年に『アビーズバインズ』を創業。自らの畑を開墾し、葡萄の栽培管理をスタートさせました。

畑は標高690m~720m、計4つの区画約1.5haで黒葡萄2品種(カベルネフラン、ピノ・ノワール)と、白葡萄3品種(ピノグリ、ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン)を育てられています。長野県東御市にある、新規就農者などを含む葡萄栽培家の葡萄の委託醸造を担っているアルカンヴィーニュにて『千曲川ワインアカデミー』2期生としてブドウ栽培と醸造の基本を学び、2019年からは弊社マザーバインズ長野醸造所にて委託醸造を開始されました。初ヴィンテージから補糖・補酸を行わず、葡萄本来のポテンシャルを最大に生かしたワインづくりを行っております。

関連リンク:アルカンヴィーニュ / 千曲川ワインアカデミー / マザーバインズ長野醸造所

山岡 剛さんとモンテ・コリーナについて

続いては、山岡さんのご紹介です。山岡さんも同じく、以前は外資金融関係のお仕事をされてました。安孫子さんとは前職時代に会社の先輩の紹介で知り合い、それから長い時を経て再会し、共にワイナリー設立に至ったとのこと。

モンテ・コリーナの圃場前の山岡さん近影

山岡さんは元々ワインが好きで、ある時ブラインドテイスティングで出された山梨県北杜市津金にあるワイナリー『BEAU PAYSAGE(ボー・ペサージュ)』のワインを飲んで「こんなに素晴らしいワインが日本でも造られているんだ!」と衝撃を受け、日本ワインに傾倒してゆきます。

2018年には会社を退社し、安孫子さんと同じくアルカンヴィーニュにて『千曲川ワインアカデミー』5期生として学び、2020年にはご家族で軽井沢へ移住され、2022年から長野県小諸市にて『モンテ・コリーナ』を創業。ワイン用葡萄約1,000本を植栽し栽培管理をスタート。

畑は標高約900m、黒葡萄2品種(メルロー、ピノ・ノワール)と、白葡萄3品種(シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン)を育てられています。小諸市もまた、ワイン用葡萄の栽培に適した環境であるため、白葡萄品種のリースリングを新たに植栽、今後はカベルネ・フランやマルベックなどの品種の植栽も検討中とのこと。

お互いで協力しながらの葡萄栽培とワインづくり~共同経営だからできること

国内では珍しい「ワイナリーの共同経営」について、お二人にお話しを伺いました。

お二人でワイナリーを始めようと思ったきっかけを教えていただけますでしょうか。

ワイナリー設立を考えた時に一番のネックだったのは費用面でした。もし醸造所をシェアできれば、その負担も分担できるのでは、と考えたのがきっかけです。近年は建屋用の資材の高騰や、不安定な世界情勢の影響で醸造機器の輸送費の値上げなど、ワイナリー設立は金銭的なハードルも上がっている印象ですね。

確かにそうですね。醸造機器は1カ月~2週間単位で輸送費の変動もあると聞いています。作業面ではどうでしょうか。お互いそれぞれの葡萄畑の管理もあるため大変ではないでしょうか?

実は、お互いに作業を手伝えるので助かっています。葡萄栽培は天候に大きく左右されるため、急な人手が必要になることもしばしばありまして。そういった時にお互いでサポートし合えるんです。2023年、ワイナリー初の仕込みを行いましたが、醸造も力仕事、常に人手が必要ですからね。今は安孫子の葡萄のみでの仕込みですが、2025年からは山岡の葡萄も収穫できるため、1つのワイナリーから2社のワインをリリースできるようになりますよ!

そうですか、それは楽しみですね!

除梗破砕した葡萄をタンクに移す作業を行うスタッフの吉田さん(左)、山岡さん(中)、安孫子さん(右)

建築設計のアドバイスや醸造機械の選定はマザーバインズにて担当

ワイナリー設立の際に、弊社マザーバインズ長野醸造所の醸造担当者とエンジニアがアドバイスをさせていただきました。「限られたスペースで機器や人の導線を考慮し、いかに効率的にストレスなく作業ができるか」を重視した機器選定を行い、仕込み期間の醸造機器の運転や清掃など、一部のタンクは移動可能な設計としました。

ドゥ モンターニュ タテシナの醸造所内の様子

こだわりの貯蔵スペース

樽を使ったワインの熟成、出来上がった後のワインを貯蔵するためのスペースにも工夫があります。動線を考え、樽やコンテナの搬入がしやすいように外に繋がるシャッターも設置しました。この部屋のシャッターは、外気を通さず室内の温度を一定にキープできる特別な断熱シャッターを採用しています。

資材置き場兼貯蔵庫としても利用可能なスペース

最後にお二人よりメッセージ

まだ生産量も少ないため、ほとんどが長野県内での流通に留まっていますが、軽井沢のレストランやホテルでも採用され大変好評をいただいております!今後は、他県の飲食店様にも弊社のワインをお届けできるようになればと考えています。

ワイナリーには、ワインショップ兼試飲スペースも併設されているため、現地での試飲や購入も可能とのこと。『ドゥ モンターニュ タテシナ』様の商品のお見積りやご購入、試飲のご希望等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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